「ふたたび、暖簾をかけるまで」
- hanataku2019
- 2019年7月19日
- 読了時間: 3分
「ふたたび、暖簾をかけるまで」第12話
奥さんの当時の想い
「からしだねワークス」を支援センターのSさんに紹介して頂き、見学させて頂きました。店を始める前に作業所でお世話になった方が働きやすいと思いましたが、主人自身何かが違うと感じたようで「からしだねワークス」をお断りさせて頂きました。
店をする前に料理を思いだしながら作ってみようと主人は練習するのですが、
料理を作る段取りが難しく、1つ1つ一緒に作ると完成し、自信につながっていけたらいいなと見守る思いでした。
病前は仕事の事しかなくて遊びに二人で出掛けなかった主人でしたのでいつも主人に
「神様がゆっくり休みなさい」と言って下さっているんだよって話しました。
主人の好きな所はどこにでも行って病気が良くなれば、と思い過ごしていました。
STから当時を振り返って
当時は少しずつ、「自身の何が苦手で何は出来るか」についての気付き始められた時期でした。
当初は週に1回、40分の訪問リハビリでしたが、週に2回、40分、週に2回60分と
状況に合わせて対応時間を変更させて頂きました。
週2回になった理由の一つには、奥さんからがお一人で悩まないように、と外出に付き添われたり、自宅で色々と挑戦する中での疑問や対応を一緒に考える、という意味合いもありました。
また御本人も病前は寡黙な方だったとのことですが、退院後は非常に多弁に成られたとのことでした。性格的にも明るくなったとのことです。
このような現象は脳のご病気によって引き起こされる、とも言われていますが、
実際はそれを家族や周囲がどのように捉えるか、が大切です。
生活に支障を来す場合は高次脳機能障害として捉えられますが、青木さんの性格の変化に対しては奥さんは比較的好意的であったように思います。
結婚してから忙しくされてきたお二人でしたが、私がリハビリに行く度に日記には昨日は~に行った、今度は~のツアーに行ってきます、と前向きにお二人で捉えておられるのが印象的でした。
記憶と感情は密接に関係していると言われています。
こういった心を動かす出来事を多く体験されたのも結果的に好影響だったのかな、と感じます。(実際に日記に振り返りとして書かれている内容も日々の日課より特別なことは思い出し易く量も多かったです)
「からしだね」の件はまだ、ご自身の「し難さ」と実際の超えなければいけない課題との間に相違があったことと、「自分の店では勝手がわかる、他の店で出来るようになっても仕方無い」の思いがあったようです。
徐々に客観視が出来るようになられる中で、日記のお店再開時期の検討も冷静になってこられる様子が日記からも読み取れますが、葛藤もあるようでした。

*この日記は高次脳機能障害からの記憶障害の練習の為にご家族による当時の様子、想いと
御本人による振り返りから構成されています。ご夫婦より多くの方に知ってもらいたい、とのご希望があり、掲載しております。
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