「ST,在宅やってるってよ」その51
前回認知症のご利用者に在宅STが出来ること、かもしれないことについて書きました。
今回は「〇〇があって、認知症もおありなんです」のケースです。
〇〇の多くは嚥下障害、になると思います。
(中には構音や音声の方もいるでしょうが)
そして老老介護やMCI(軽度認知障害)同士の在宅環境だったりもします。
核家族化、超高齢社会では多いです。
そういった環境での嚥下アプローチでよくある問題は
①嚥下レベルを守れない、守らない
→退院時やその後の嚥下評価で今食べられる形態、環境をお伝えしても
「美味しくなさそう」「作るのが難しい」「食べたがらない」などから
一気に常食やトロミ無水分に自己判断で変えてしまわれたり、
元々の好物は食べられるという強い思い(認知期メインやターミナル等では良いこともありますが)だったりがあります。
②ムセを始めとして危険なサインに気づけ無い
→湿性嗄声や嚥下の未確認での次の一口(口に無いから大丈夫と思う)
ムセてるから水を飲む、など口頭で危険なサインをお伝えしていても、習慣が勝ってしまい、危険なサインだと思えない。逆に強い咳で喀出出来ていても、咳が出るから食べさせなかったです。の場合もあります。
③栄養バランスや姿勢への理解が難しい
→タンパク質、脂質、糖質のバランスを理解しにくく、多くは糖質がメインになります。
他にも滋養強壮の強い食べ物(すっぽん、高麗人参だったり栄養ドリンク)を中心にされている方も結構多いです。笑い話のような本当の話、、、
また、お箸、スプーン、フォークなど全て目の前に置いていたり、体が寝た状態や首が上を向いている状態に気づかずに食事をしてしまうこともあります。
④そもそも嚥下障害というものが理解出来ない
→まだまだ「食べる」の誤りが死に繋がるという認識が乏しい方が多い印象は受けます。
実際に誤嚥性肺炎や窒息になってからその重要性に気づく、という事が残念ですが多いです。
こういった事が前述の家庭環境では起こりやすいように感じます。(勿論きちんと出来ているご家庭もありますが)
リスクに対しての理解が難しい時は
①具体的に紙に「今食べられるもの、形態、注意する点を簡潔に」記載して伝える。食事する部屋、机などに貼るなど目に入る場所に置いてもらう。「気をつけてたのに忘れてしまってて」の後悔を減らすという意味でも大切。
②MCI、老老介護のみの普段の環境下ではムセにくい形態で普段の食事を設定する。
協力的な息子、娘など比較的コンスタントに来訪する家庭環境であれば、そちらに最大能力に近い食事環境時の注意点をお伝えし、その方が同席の日は食形態を挙げたものを摂取する、などの提案をする(外食なども含めて)
③スモールステップで難易度を上げていきながら、理解を促す。
嚥下しやすい形態でも味にアクセントを付けながら楽しんで頂くことで
焦らずに食形態を上げて行くことが出来るようになります。(検査的な要素が強いと
不憫に思われ、こっそり別形態を食べさせてしまったり、、、)
食べられるものが増えていく実感を持って頂くと、STへの信頼も増えるので
事前に違う食事を試す際には相談して下さるようになることも。
④今食べられる形態のメニューを具体的に伝える
「こうやって、これにトロミを付けてから、、、、〇〇、、、、、」だったり
「補助栄養食品の会社で、〇〇さんで注文してください」では
中々難しいので近所のスーパーやドラッグストアなど普段から通い慣れている場所に置いている食品、惣菜で伝えるようにする
定期で補助栄養食品を導入する際はパンフレットをこちらで持参し、定期での購入方法や
連絡の仕方までお伝えする必要があります。代引きなども含めて。
⑤全食事を頑張らない
3食とも頑張るのではなく、部分的に胃ろうだったり、訪問介護だったり、ショートステイだったり、宅配弁当だったり、デイサービスだったり、、
経済状況とご家庭の趣向、そして体力に併せた柔軟な提案が必要かと思います。
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