「ST,在宅やってるってよ」その7
在宅、地域で関わる際によく耳にするキーワード
「自立」
多くの方が退院し、在宅サービスを受ける際に介護保険を利用します。
「介護保険の目的」については
介護保険法でも「その人々が有する能力に応じ、尊厳を保持したその人らしい自立した日常生活を営むことができることを目指します」
「自立」の概念は元々は
「他の援助を受けずに自分の力で身を立てること」でしたが、
ノーマライゼーションの思想の普及によって、徐々に変容し
「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」
「障害をもっていてもその能力を活用して社会活動に参加すること」
の意味も含まれるようになりました。
「活動」「参加」はまた今後に置いておいて、、、
「自立」の意味は変わってきているのですが、
支える人、介護する人、当事者によってそのスタンスは同じ対象者に対してもマチマチだったりします。
役割として目的が違う場合は問題ないですが、その人の暮らしにフォーカスを当てた時に
その人への「自立」の価値観が異なるとチグハグになります。
福祉職の方は「介護サービスの手助けを使い続けてでも生活が成り立っていれば自立」
リハビリ職は「自力で道具までは使って出来れば自立」という捉え方が
多いように感じます。
「リハビリ」をしている入院期間は
当然「能力として自立出来るように!」を念頭に頑張ります。
退院してきた時に、直ぐに「障害をもっていても~」と捉える方は殆どいません。
→家でも「リハビリ」して元通りになる!です。 当たり前ですが、、、
でも
いつまでも「~が出来るまでは外に出れない」「元通りになるまで我慢!」
では無いわけです。
現時点での生活の広がりとSTリハビリのモチベーションを都度、高めていける関わり方、、、
理想は
「今でもお品書き読みながらだったら、お一人で外食もいけます。
リハビリを続けたらお一人で好きなものを注文も出来るようになる可能性もありますね。」
「今はトロミのお水しか飲むことが出来ませんが、練習していくとまた普通のお食事が食べれるようになる可能性があります。今はトロミのお水ですが、味を変えて今日は冷たいとろみのアイスコーヒー飲みませんか?最近トロミのお酒も出たらしいですよ」
という感じにアプローチ出来ればと思います。
改善の限界を「プラトー」と言いますが、手足に比べ、ことばや考える力は
ゆっくりと良くなっていくため、また見た目にその変化が見え難く、解りにくいです。
一方で「ことばのリハビリ」を続けていないとコンディションが落ちて「自立」出来ていた暮らしが行えなくなる方もいます。(病気をしなくても半年中断すると適度なコミュニケーション環境に居ないとガクンと言語能力も落ちます)
飲み込みの状態を定期的にチェックして体調を崩した時期には悪化しないような食事環境を提案して、1年を通じて能力が落ちないように家での暮らしを保つ必要があることもあります。
何年も掛けて、その時々の能力にあった課題を提案することで認知能力やコミュニケーション能力自体が改善する方もおられます。
まだ改善する余地が合っても、その方の生活上支障が無くなったら、辞めたいという方もいます。
続けることによる影響、やめる事による影響、目的、目標、楽しみを説明しながら
「自己決定」して頂くことが大切になってくるわけです。
そのための具体的な説明が出来るスキルが在宅では必要となります。
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