「ST、在宅やってるってよ」その61
今回は超高齢者(日本老年医学会が90歳以上と定義)の言語訓練についてです。
もちろん個人差はありますが、傾向として
①柔軟な応対が必要な練習メニューは難しい
②何らかの理由でお休みが続くと能力が低下しやすい
③老人性難聴に留意
があるかと思います。
①は通常、訓練効果などを診ながらメニューを変えていくかと思いますが
メニューを安易に変えると動揺や緊張が高まり逆効果になられる場合が多いです。
元々ご病気をされる前から行っていた行為や慣習に基づいたメニューの方が
受け入れ易いように感じます。
音読、書字等は受け入れやすいですが、絵カードの指差しは混乱したり、という感じです。
違うアプローチを考える時も「慣習」の中で似た行為が無いかを考えながらメニューを考えると良いかと思います。
②家庭の事情や施設等の事情によってお休みが続くと、特にご病気等をされなくても、
コミュニケーション能力が一気に低下されたりします。(所謂、廃用症候群がコミュニケーション面でも出やすい印象です)
在宅から施設へ転居される場合も元々読んでいる新聞やカレンダーの設置など文字に触れる環境を同じ様に設定します。(施設内食堂に新聞があっても違うシチュエーションなので定着し難い)
③老人性難聴からの子音を中心とした聴き誤りが増えてくるため、失語症との選別を意識する必要があります。また補聴器の選定や電池切れへの気づきなども確認が必要です。
こういったことを鑑みながらフリートークをしている中でお話しくださる内容は
人生経験が豊かなだけに面白いものが多いです。
気持ちよくお話出来るような配慮の視点を持ちたいものです。
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