「ST,在宅やってるってよ」その63
在宅で認知症の方に関わる中で、
ある日、ご本人がこんなことを仰いました。
「んー今は、、、、、私。子供といる時、あなた達といる時は私やなーって思う」
この方は非常に社交的で周囲への気遣いもされるチャキチャキしたキャラクター。
言葉の話難さ(具体的な言葉が)、書き難さの症状から始まり、STが担当させて頂くことになった方です。
話難さを持つ当事者同士が集まる「お茶会」でも周りに話を振ったり盛り上げたりとして下さいます。
でも少しずつ、不安になったり、どうしたら良いかわからなくなって右往左往される事が増えてきました。
前述のコメントの通り、私が伺った時に、ご家族が居られない日は、すごく不安そうな表情で、
「何が不安か心配かはわからないが心配なのよ、、、」
と話されます。
その際は一緒に心配事が無いか自宅内を二人で周り確認して、ひと段落していつもの話題に切り替えていくと「いつもの自分」に戻られていく感じです。
前述のコメントがあった日は、数十分前までご家族とおられ、「不安、心配になりそう」という境目のようなタイミングの日でした。
外見上は落ち着いて話され、自身を客観的に見て話されていました。
そしてその言葉を聞いたときに、Nスぺで以前放送された認知症の第一人者の長谷川先生のお話を思い出しました*
「いつも確認していなくちゃいけないような、そういう感じ。自分自身が壊れていきつつあることは、別な感覚で分かっている。十分に分かっているつもりではないけども、ほのかに分かっている。確かさ、確かさっていう生活の観念が。生きている上での確かさが少なくなってきたように思うんだよね。」(長谷川先生、NスぺPlusより)
このお話をお伝えすると
「そうそう、そういう感じ!」と言われていました。
自分が自分でいられる確かさを作ったり、キープしたり、
そういった所に我々の接し方(以前ここで書いた快の感情を伴ったイベントややり取り)、
そこから派生してご家族、援助者のかかわり方の伝達など
自然にその方らしく関わっていければと思いました。
そして毎回、自身の言葉意志として言われるのが
「ねえ、そろそろ、あれ、あなたのところの集まるやつ(お茶会)やりましょうよ!」
そういった包括的な取り組みが多くあると「確固たる自分」でいられる時間、場面が増えるんだろうな、と感じました。
*NスぺPlus
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