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執筆者の写真hanataku2019

「ST,在宅やってるってよ」

「ST,在宅やってるってよ」その67


10Kpaの差は人間の感覚だけで見分けるのは難しい、、、


冒頭に何を嘆いたかというと


食品の硬さのことです。


在宅でSTとして食支援を行う中で、

所謂、

食認知(食べ物として捉えられるか)

口腔期(噛んで飲み込み易い形態にして、喉の奥に送り込めるか)

の部分がメインの課題で食べられない、又は食事量が減っている方が居られます。


ご病気で言えば、脳卒中関連からの「脱抑制からの早食い、咀嚼不足,、環境依存」

認知症等からの認知機能低下

歯牙欠損や入れ歯を入れたがらない、筋力低下から、歯茎も衰え、舌で押しつぶすに頼る等


専門職としての「目」で評価をしていく際に、上記の嚥下機能以外にも

当事者に対して

咽頭期(しっかりゴックン出来るか、タイミングが合ってるか)

食道期(ゴックンしたものがしっかり食道から胃に逆流することなく入っていくか)

咳が効果的か、などなど見ます。


また食環境として

その方の嚥下に関する阻害因子になりそうなものの調整

例えば注意散漫で食べ難ければテレビを消す、だったり

   口に運ぶ腕が不安定なら肘を付ける安定した高さに机を変えるだったり

そして

嚥下食と言われる食のテクスチャー(物性、硬さ、付着性、粘度、離水など)を検討します。


沢山挙げてきましたが、正確に視認し難いものが幾つかあります。

どれも大切な要素です。


咽頭期、レントゲン造影検査という大掛かりな検査で無いとゴックン後の流れは視認出来ません。嚥下前後の声の変化などから推察したりします。またゴックンの頻度が食事前半と後半でどのように変わるかなども見たりします。嚥下前の咽頭の様子の視認は嚥下内視鏡検査で可能ですが、これも少し大掛かり(ST単体では出来ません、訪問歯科の先生が往診でして下さる所があると比較的手軽ではありますが)


もう一つは硬さです。

特に舌でつぶせるとUDFで規定される硬さと歯茎でつぶせるの硬さの違いは

どちらもスプーンやフォークで切れるので身近なものだけでは判断は難しいものです。

更に言えば、UDF2の上限の「歯茎でつぶせる」の硬さでは丸のみする舌の強さが無くても

「舌でつぶせる」は楽々丸のみで行ける方もおられます。


ケア家電として最近販売開始のDeliSofter*ではこの間の硬さの食材を作ることが出来ます。

これまでレトルト介護食品の上限規定値では難しいとあきらめていた方も、それより10Kpa低い硬さなら安定して舌で潰して食べられるかもしれません。


今、私が関わらせて頂いているご利用者さんには実際にそういった方がおられます。


脳卒中が原因で丸のみでの摂取以外されなくなりました。

また、環境依存や食認知によって摂取量が極端に左右される方で

入院中はペースト食などを出されても一切口にされず、胃ろうになられますが、

自宅に帰って「食べ物」と分かるものだとご自身から食べられる、を繰り返してこられました。(外見上、何かわからないものは口にされません)


今回の入院による筋力低下によって丸のみで摂取できるものの制限も大きく出ていたので、

手順を踏みながら評価(こちらはまた追々、、)

その方の食べられる最大の硬さは凡そ40Kpaです。

でも「最大」なのでその硬さで一食は楽しめません。

20Kpa程度にDeliSofterで加工されたお好み焼き、野菜と軟飯をメインにしつつ40Kpa前後のメンチコロッケを部分的に味わうという形です。


成果物の硬さは当舎カメルカで都度確認しています。

手軽に視認出来るようになったからこそ、これまで「ペースト食」とされていた方々に

違う提案が出来るようになったのです。


硬さを加工出来たら、タレの工夫、唾液腺や口腔ケアによるコンディショニングの工夫

咽頭期のクリアランスを上げる、リスクを避ける視点・評価は元々の食支援テキストやチャートを利用することで応用が可能です。(この方で言えば交互嚥下をしようし、口腔内でより物性的に好ましいものにすることで食欲と安全を引き上げることが出来ました)


硬さの簡易的な可視化が今週より発売のカメルカIBにて、適切な「やわらか食」まで可能となりました。これまでの知識・技術を更に生かせる情報を得る為にご活用頂ければと思います。私も使います!(宣伝多めになりました笑)



※DeliSofter

カメルカ・カメルカIB


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