「ST,在宅やってるってよ」その108
在宅でSTをしている中にはご高齢の方も多いです。
所謂、後期高齢者(この言い方は好きではないですが、、)75才以上の方々。
小児、若年層に比べると所謂、脳の可塑性は緩やかになりますが
好ましいコミュニケーション環境や「ちょっと頑張ったら可能な」課題を
継続することで、言語機能のパフォーマンスや認知機能のコンディショニングは
変化(維持や一旦落ち込んでいたコンディションが整う)向上する印象です。
この世代の方のコミュニケーションで気を付けたいのはコンディショニングの低下です。
身体でも一日寝たきりでいると1週間取り戻すのに掛かると言われますが、
コミュニケーションでも同様のふり幅を感じます。
例えば
80代で失語症で週一回訪問しているペースだと単文で自然場面ではお話、読むと短文でも可能、な方がご家族の都合で4週間空くと、保続が増えたり、単語レベルでの音読での誤りも増えたりします。最大の力を発揮できる習慣はSTが入って居ないと中々ご家族とのやり取りだけでは維持し難い事があります。(家族とはそんなに話さなかったり、難しい表現や具体的な単語呼称を求め続けるというやりとりに陥り易い)
90代の方でご家庭の事情で半年間休止、その間にご自宅→施設にご入所された感覚性失語の方では状況理解が深まらないまま環境が大きく変わったことにより、言語表出だけでなく、理解の低下や混乱・せん妄、内服自己管理困難なども見られました。
そこからご自宅にいた時にしていた環境(新聞を見る環境を作り直す、補聴器を付ける環境を整える、カレンダーの提示、自主訓練として日付や現住所の模写を行う)など
これまで行ってきた習慣やご自宅時から行っていた自主訓練をベースに整えて行くと
半年ぐらいで元のコンディションに戻って行かれました。
ご高齢になると一般的には柔軟性は低くなりやすいので、元々慣れ親しんだ習慣や嗜好を
上手く活用することが大切かと思います。
(好きな話題やカテゴリーを利用して見当識を保つ、継続的にモチベーションを保つ、話したくなる話題を繋いでいく等)
後、最近は超高齢社会の日本ならではですが
80代の方でも「年取って階段上れなくなったら困るなー」
80代後半の方「ゲートボールは年寄がするもんやな」
など
御自身がまだ高齢者と感じない気の若い方もおられます。
こういった方には意欲のあるトピックを提案しつつ積極的に様々な
ご提案をするのも良いかもしれません。
また団塊の世代が後期高齢者になっていくことで、より個別の嗜好・価値観を
考慮する必要が出てくるとも感じています。
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