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「ST,在宅やってるってよ」

更新日:2019年6月8日

「ST,在宅やってるってよ」その5


今回はSTが在宅で遭遇する「生活期⇔急性期?」な場面とその対応についてです。


嚥下訓練として担当していると、急な嚥下機能の悪化や進行に伴う悪化、退院後の情報が乏しい中での嚥下機能の悪化、といった状況に唐突に遭遇します。


例えば、

①通常は常食を摂取出来ているけれど、自身での咳が何らかの理由で難しい方が

風邪を引いて痰が絡まり易い。いつも食べれている物が喉に残り易い状況、、、


②進行性疾患に伴って、これまで食べれていた食事形態が難しくなった、、


③退院時の情報が乏しく、訪問してみると嚥下能力とかけ離れた食事環境であった。

又、退院後食べられない日が続いていた。


なんて事が結構あります。

他職種の皆さんの中には

「何でこの疾患の新規にそんなに慎重に、ていうかビビってんのやろ?大丈夫でしょ!」

と思われる方もいると思いますが、、、(実際そう言われたりする、、)


むしろ逆!


そうやってリスクを想定出来ているSTさんこそ、在宅に必要なスキルを持ち合わせているんです。


でもビビっているだけでは仕方が無いので、どうその場で対処するかが、大切です。

その時に必要な視点・スキルは以下になります。


①その方のサービス体制、ご自身の理解力・家族のマンパワー(能力も含めて)


②疾患や問題点の客観的理解


③その場にある物で対応を提案出来る柔軟性



①STが訪問した数時間後に看護師さんが来るサービス体制や往診医の先生が来る状況なら、経過観察や状況報告からSTの視点でのアドバイス中心で良いですが、

ご家族が高齢、御本人も病識が乏しく、医療的サービスがSTしか入っていない、なら

即受診を勧めます。動くことが難しいならケアマネジャーと共有の下、主治医に連絡対応を仰ぎ、救急車対応やショートステイ入所という場合もあります。


②客観的な理解の下、進行性疾患で嚥下機能のどの部分が進行しているか、又は疾患自体の問題なのか、二次的な問題(摂取量や活動量の低下からの筋力的等)なのかによっても対応は変わります。補助栄養を増やし、一時的に栄養量を増やすことで改善することもありますし、捕食期の問題からであれば自助具などの導入で解決することもあります。

「食べれない=トロミ・刻み」という考えも地域に根づいていますが、疾患によっては悪化を招くこともあります。

専門的な視点から、わかりやすくご家族・他職種に説明する力も必要となります。


③病院と違い管理栄養士さんに食形態変更連絡・吸引を適宜看護師さんにお願い、とはいきません。最大の嚥下能力で出来ることを日常にそのまま反映出来る環境は、稀です。

①を鑑みながら、「この食環境なら365日出来そう」を提案すること。最大能力が発揮出来る場はSTが関わる時間に行う、などの線引も必要となります。

又、それらを単純明快に説明する為に

以前備品の回で書いた「白紙」とサインペンを用いて絵でわかり易く、食事角度や姿勢、食べれるものの具体例、こういう場合は中止、救急車を呼ぶ、などを記載し、食事時に見やすい場所に添付する等の対応をします。絵をその場で書くのが苦手な場合は事前に幾つかの食事姿勢の紙のストックを用意しておく事をお勧めします。

また、退院時に食事形態の指導を受けていても実際にその食品が近隣に売っていなかったり、食事形態の意識が低いまま過ごしている介護者もおられますので、その方の近所のよく行くスーパーで売っている商品で具体的にメモにして渡して提案する必要もあります。


このように、在宅では

「危ないかも」とSTが思った場面が、

最後のセーフティネットであることがあります。


在宅食支援の「最後の砦」であることを意識しながら、日々取り組めればと思います。





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